歴史の終わりと最後の呪術師諸林 瓶彦 への感想

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評価平均

発想3.1
構成2.9
表現3.3
総合3


この世ものならざる身体感覚の描写が巧みだなと感じました。「ハッカのように」とか、体験できるはずもない感覚の描き方が面白いと思います。
怪物の襲来が物理的なものでなく都市の生活を侵食していくのも物語として良い。我々が知らないところで本当にこういうことが起こっているかもしれないと思わせる、後に残るものがあると感じます。

長老がはじめに「大空へ飛び立ち」と言っているのに、意識的な飛ぶ方面へ話が寄っているのに混乱します。「大空」は心的世界の比喩だったのでしょうか?
と同様に「焼き払う」も同じ意ならば、その後の展開も納得がいきますが、どう侵食したのか過程が判らないのがおそろしいと言えばおそろしいですし、納得しづらい部分でもありました。
悪夢のような描写は説得力がありました。

主人公の「物理空間」と「心の世界」の認識はどうなっているのか。圧倒的イメージであるものの、やはりそこは違うのだという認識を強く自分に言い聞かせる場面があれば、自分の世界に戻った後、イメージの世界がじわじわと侵食してくるラストの恐怖が際立ったかも。
イメージの世界の黙示録的描写は良かったです。

ネゴシエーターとしての教育も受けさせてもらえないまま、会社が交渉失敗の事実を作るために生贄として選ばれた気の毒な人。でもマシンガンで撃たれるよりはずっといい。深遠で恐いお話です。

 しっかりとした文章には、独特の重量感がある。歴史物やハードボイルドが似合いそうで、こういう物語を書くには抽象性が足りない気もするが、そのミスマッチがおもしろいとも言える。
 予言か呪いか妄想か。観念的な話かと思っていたが、怪物のビジュアルが具体的なためか背筋にぞっと来るものがなかった。しかし翻訳物のホラーっぽくて、そういう雰囲気を狙っていたなら成功していると思う。
 同作者の違うジャンルのものを一度読んでみたい。

もっと多くの文字数、行数で読みたかったというのが最初の感想です。
何だかテーマやルールが縛りになってしまっていて本当に勿体ない。
世界観をある程度固めた物語の本文にあるしっかりとした重厚感と会話のやり取りや心情描写の軽量さのバランスって本当に難しいのですが、個人的にはこの作品はもっと他の情報が欲しいと思えました。
もっとこの世界を見せてくれてもいいんですよって。


おはなしとしても何にしても、
真面目に過ぎる。そんな印象を抱きました。
それが良いか悪いかは個人の主観ですが、
しかし、ずっしりと重いが故に、
受け入れるのは、ちょっと難儀です。

話し前半植民地政策な話しってこととその内容と、最近みた映像の世紀の影響でww1とww2の間、1920年代くらいの話しだと思い込んで読んでいたら、テレビだアニメだで現代に近い頃合いの話しなのかと知った。どっちの時代でもしっくりこなかった。
前半の長老の言葉(?)の書き方が、作品の一人称として違和感。主人公の主観から外れている書き方にみえた。
ラスト。結局、俺の中でしかないひとりよがりな不安から脱却していないため、読後感としての説得力に欠ける。

 コメントのみ書き込みます。
 ワクワクしながら読み進めたんだけど、終盤がチープで肩透かしを食らいました。
 以上、読ませていただきありがとうございました。

正直、好みの話ではないです。
描写はよかったですが、長めなのが……。
オチはもう一歩踏み込んだ方がよかったかと。

 表現にテーマが追いついていない、という珍しい感覚です。逆はよくありますけども。
 とくに後半のイメージが優れていて、このまま破綻するまで行くのかなと思っていたところをきっちり抑えてきました。概念的に偏りすぎずに映像がある。一見ゴチャゴチャして難しそうに見えて読みやすい。そこに己の表現を追求する理想と読者を置き去りにすまいとする現実との葛藤が感じられて、好感を覚えました。
 というわけでこの作品自体そこまで好きではないようなのですが、次回参加を期待させてもらいます。

「原住民と俺たちは、今や敵対しつつあった」と言った直後に、「原住民を支配下に置く手腕は次第に巧妙になり、今や森の半分は俺たちの支配下に入っていた」と言っている。まあ半分は反対しているということなのでしょうけど、わずか数行のうちに相反する描写があり、「敵対」と「支配下に入る」がともに現在進行形で書かれているので、どっちなの?と軽く混乱しました。また、長老が見せた幻覚(?)の描写はよくいえば丁寧といえるけれど、自分が受けた印象は冗長でした。要するに、全体的に整理ができていない印象を受けてしまった。題材としてはありがちなのに、何を表現したかったのか見えづらかった、ということです。
心情描写が丁寧になされていたところは素直に好感が持てました。

 いいなあ、このセンス。長老にビジョンを見せられた青年の脳内の描写がたまらなく好きだ。プリミティブな恐怖、禁忌としなければいけないものの不気味な雰囲気が文章から立ち上ってきて、ゾクゾクした。作者はまるで何かに憑依された原始の語り部のようだ、とも感じた。
 私は南国のお面などで目を剥いて狂気の様相で笑っている神のほうが、普通に笑っているものより恐ろしい。
 子供番組のキャラクターとなって笑顔で幼い子供の潜在意識に何かを重低音で刷りこんでいくのは、物理的な復讐よりもずっと不気味に感じた。

 やや読みにくい(というよりも、あまり読者を引っ張っていく気力が感じられない)です(少し説明しすぎでしょうか?)。呪術師が見せた脳内風景が破裂した時を契機として、主人公の憔悴していく様の生々しさがよく描けています。その後、主人公が文明の中に怪物を見い出したシーンの強烈さにあてられたまま、読み終えました。テーマはベタなのですが、手段と目的がはっきりしているのと、後半部分の迫力が、それを感じさせません。欠点は、前述したやや読みにくいところと、怪物本体にさほど迫力がないことでしょうか。

なんだか良く分からないまま終わってしまった感。
全体的に文章を詰め込みすぎかなと。

文化の違う二人の邂逅ですね。その割には話が噛み合いすぎている感じがしました。
自分自身も他人に価値観の押しつけをしてるんじゃないかと、とても考えさせられました。

考えさせられる話だと思いました。若干詰め込みすぎか、言葉が単調になってしまっている印象を受けてしまいました。

 一読してまず思ったのは、文字量が多い、ということでした。計ったわけではありませんが、かなり行数制限いっぱいいっぱいに書きこまれているのじゃないかという印象です。一つの段落に二三の話題が詰め込まれている部分があるのが、そのいっぱいいっぱい感に拍車をかけているように思いました。

 最後の一段落ですが、結論というかまとめというか、この小説を読み終わって感じる不安感みたいなものを「解説」してしまっているように感じました。この一段落があることで、せっかくの「空恐ろしい」雰囲気が現実的に引き戻されてしまって、読後感がもったいないと感じます。論文とかならば最後にまとめるのは重要ですが、こういった問題提起的な小説には、まとめはない方が読者に考えさせるものがあっていいかなと思いました。

 心内風景とでもいうのでしょうか、心の内側に落ちていく様とその風景、その中で蠢く怪物の姿の描写は、もっとグロテスクでも良かったかもしれません。その怪物が実は「文明人」の中にも普遍的に宿っていて、無理に目を背けている文明人に警鐘を鳴らす古代の呪術師というのは、まるで実際の世界にもそのまま置き換えられるような話で、刺激的でした。

都市文明の空虚さ、自然への畏怖というテーマは、言ってしまえば「ありがち」なので、語り口や他の部分が肝になると思うのですが、圧倒的な力までは感じませんでした。
密林の住民たちの復讐も、姿を現すだけ(?)になっていて迫力不足な印象。
とはいえ文章そのものは手堅く書けていて、ある程度以上の力量はお持ちとお見受けしましたので、力を割くポイントを吟味すれば大きく化けると思います。

しっくり来なくて読み返したけど、やっぱりしっくり来なかった。面白そう! からはじまって終われば、ふーんって感じで、何かもったいない。

 テーマが二項対立を脱していないところに物足りなさがあり、感想のクリシェである「考えさせられました」以上のことは言えそうにありません。ただ後半のイメージの加速、表現は巧みでおもしろいの。目指すべきはテーマの深化かと。

文章と会話と筋が乖離しているような違和感があります。
リアルな質感がありながら、エンタメ的な掛け合いで、かつファンタジー的な要素もありと。

リアルに徹するなら、もっと哲学的思想的な応酬にしたほうが良かったでしょうし、ファンタジー要素を推したいのであればもっと軽い文章でよかったように思います。

前半の、老人の台詞部分のカギ括弧を省略した書き方にはどんな意図があったのかが気になりました。夢(?)の中の世界でははっきり聞こえる台詞も、外の世界ではよく聞こえないとか、そんな意図なのかなと思ったのですが、それだと現実に戻ってきた時にカギ括弧が使われているので、なんとなく、ただ忘れてただけなのかしら? と思ってしまいました。もしかしたら、前半は老人の話を聞く気がなくて、後半は老人の話を信じる気になったからとか、そんな意味なのかなとも思いました。
現代社会に警鐘を鳴らす内容と、夢(精神世界?)の描写が良かったと思います。
ただオチはあんまり怖くなかったので、もっと薄ら寒い感じにしてもよかったのではないかなと思いました。

確かな表現力と、圧倒的な世界観。光景が目に浮かぶようでした。

 荒削りながら、仰りたかったことは充分に伝わってきました。
 こういう力に溢れた物語は好きです。
 ただ一点、原住民の村で体験したことが、後になってアニメーションなどによって意図的に格下げされていることは少々気になりました。現代的といえばそう言えなくもないですが。語り手の体験は、それよりももっと壮絶で、また比類なきものであったはずなので。

いろいろと雑だなあという印象。
とくに頭の中の世界(?)に入ってからの描写。
ただでさえ現実離れした世界は読者にイメージさせるの難しいのに、展開の速さも相まって想像するのを放棄してしまうレベル。途中からは完全に字面だけ追ってました。
そのあと現実世界に戻ってからも、頭の中の世界で上がったテンポが元に戻ることはない。言葉の選び方も、後半に行くほど雑さが加速している。
けっきょくバッドトリップの話ですん?

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