洗浄屋のアニー木野目理兵衛 への感想

閲覧数1143
コメント数22

評価平均

発想3.8
構成3.1
表現3.8
総合3.2


洗浄屋というからには、アニーは何かを洗っているのだろう。で、いろいろ立ち上がっているのはアニーが扱っている人々の記憶らしい。
だとすると、何かに内蔵されている記憶を消しているのか。昔消しゴム屋ナントカという忘れてしまいたい履歴を消す商売の話があったなと思いつつ、もしかしたら臓器の記憶?ここで心臓移植された人がドナーの記憶を持つという話を思い出す。この移植用臓器の記憶を消すのが、アニーの仕事なのかもしれない。ここまできて、有名人のレアな記憶が金になるので消さず取っておくという、コーヒーのごとくダークなアニーが見えて、発想のオリジナリティーに感心しました。
けれどいかんせんわかりにくいので、この様に受け取ったという次第です。

まず以って鍵がない人には開けられない世界にして、読者が感じたままこそがこの作品という個人的な読解で感想を。
この作品は、使っている言葉自体は全て意味が通るのに、如何に読者が紡いでも物語は共通認識の取れた一つの形にほぼ結合しないと思われます。本来だったら全ての物語は読者の中に委ねられるので、それは至極当たり前のことですが…。共通認識が及ばないどこかの世界の雰囲気は、まだ自分達が分からない魔法やはるか遠く未来にある学識のような感触をこちらに与えてきて、個人的にはとても心地良いです。
万人への理解ではなく、己が求道に満ちた世界への探究は自分にとって、美しくも遠いのですが、さながら、それは、文章の麻薬とでも言っていいのかも知れないと思いました。
分からない人には本当に分からないと思うので、そういう意味で、構成はとても不親切です。
ただ、もっと跳んでもいいのよと個人的には言いたい。言葉の選びとリズム感はすごく良いです。

 コメントのみ書き込みます。
 禁則トラップを用いての記号等を含む三千七百五十八文字で書かれた句点のない作品に唖然とするのみです。
 以上、読ませていただきありがとうございました。

小説を書く人は読む人に、何かの意味を投げつけてやろう、あわよくばそれを受け取ってもらおうと考えるものだと思うのですが、こちらは別の何かを毒のようにしみこませようとしていると感じます。作者の意図など考えたくはないのですが、作風の素っ気なさに比べて、そんな雑音を生み出すところが特徴的。もっとも毒性は弱く、浸潤に即効性はありません。衝撃的なようでソフトな肌触りでした。

難しい作品です。
読み進めていくのも難しいし内容を理解するのも難しいし評価するのも難しい。

 小説よりは詩に近い、と思った。というか、詩として読んだ。つまり最初から意味は考えない、読み取ろうと試みない(作品に意味がないと主張しているわけではありません)。そして良い悪いの判断をしない。それが私の詩の読み方でして、子供が歌を覚えるのに似た感覚で、淡々と言葉を口に上せてゆきます。しかしこのやり方で読み通すには、ところどころ意味深で、リズムも単純ではありません。
 そんなわけで、楽しめるところがまだ見つかりません。

他の感想を呼んで声に出して読んでみたら、懐かしい気持ちになった。
在学していた専門学校で講師をしていた詩の先生の朗読会の動画を見た感じに似ていた。
感覚としては複数人による朗読会、あるいは小さい劇団の舞台の一幕といった感じ。
故に読み物としてはちょっと微妙で、動画又は生で観たかった。

 説明を排して物語的な形式もとらず思弁的に背景や設定や物語が醸されていく、というのは相変わらずおもしろい表現だと思います。内容についてはこれまた相変わらずまったくわからないんですが、このわからなさは作品を構成する世界をソリッドな舞台として想定しているのではなく、世界そのものに変転し続けるような動きがあるからじゃないかなと、それっぽいことを感じました。

結局わからないものはわからないんだけど、文章のリズムは心地よく、時折入る心の声だかツッコミだかにクスリとくる位の共感はできたと思います。

 とにかく、一読では詳細を知るのが困難で、この読みがたさが読者をひたすら遠ざけます。ところどころの断片でこうなっているのかなという予想はできなくもないんですが、完全に断片を繋げられないです。ところどころの語りはいちいち面白くて、それだけで幸せな気分になれました。色々と文句じみたことを言ってきたのですが、採点は野暮な感じで、これはこれでこういうものだ、と言いたい気分です。ですが、さすがにわかりにく過ぎる気がしないでもないです(作者は別に読者にわからせるつもりはなくて、ただただ各々の頭の中に広がるイメージを尊重しているのかもしれませんが)。

 いいなあ、この格調高く人を喰った言葉のセンス。読んでいて、まるで脳内で複数の人が唱和しているような、合唱曲を読んでいるような気がした。かと思えば、「必殺の道具……美貌ではある(何だぁと思いましたし思いましたね?)……ではあるけれど、それは“もしも”を重ねて織り上げた代物であり」など、文字通り心につき刺さる風刺もあり、宝の山をひっくり返したような文章だなあと笑ってしまった。
 狸という単語が「飛び出して絶命したり」「化けの皮」だったり、随所で印象的に使われているのが面白い。
「想起用」の肢体を洗浄する、狂気に満ちた美学のようなものを感じた。

試行錯誤中だなぁと。
意味無く読み進めて、全体としての雰囲気を売る掌編としてならば十二分。
もしこの文体を糧にしつつ注長篇に組み込むという意図を後々抱いているのであれば、情報量を減らしたほうがいい。
目が滑ってしまうのだ。

いつもながら、誰か上手く喋ってくれないかね、この作品。それはそれで面白いものになりますぞ。

たまたまツィートが回ってきたのできまぐれに読んでみたのですが、大変文章の冴えたかつたくみな作者さんだなと思いました。なのに、感性でよみとばさないと意味が分からないという、なんというか底知れぬ才能を感じました。SFマガジンに投稿してみては?

情報のシャワーに少し酔ってしまったようです。リズミカルで愉しい文章ですね。谷川俊太郎を読んだような読後感でした。

 これは読めない! と思ったのですが、なかなかどうして音読するとするする進んでいくこの文章、ぶっとんでます。もしかして、これ最後に一文字書き足すと制限オーバーするんですか? だとしたら、序盤の「危ない橋と?」のあとのスペース一文字分が悔やまれますね。

 言葉としてはだいたいなじみのある言葉ばかりなのですが、意味を汲めないのが、読み進むうちにだんだん面白く感じました。声の張り方や息の吸い方まで文章から教えられるような感覚があって、音読にもつい熱が入りました。途中「砲塔乳房、背部針千、もぐもぐ陰部」のところだけなじみのない言い回しというか、抜き出せば意味が分かる、という言葉ではなかったので、ここだけつまづいてしまいました。
 それにしても、「洗浄屋のアニー」の独り言あるいは思考かと思っていたら、「アニー・チャップマンは」という文言が登場するあたり、アニーを見ながらこういう風に考えている主人公がいるってことになるんでしょうか。そもそも洗浄屋ってなにを洗浄するんだ。体なのか。

 なんというか、ストーリーとしては読めませんでした。文字による表現ですが、小説ではない気がしています。星評価が難しいですが、感じたままに。

ググってみて、某有名犯罪者の話なのかなと見当をつけてみました。
そう考えると、複数の容疑者の人格を複合した何かが主人公なのかとも推測しますが、いや逆に被害者の人格を総合したものなのかとも考えてしまいます。
こうまで考えさせる作品は、なかなかないです。言葉で酩酊状態にするのではなく、極めて理性的な状態にさせるという意味で、優れた作品だと思いました。しかし、マキムラ・ジュニアとは誰なのでしょう?

声に出してみると面白くないんだけど、文字を追って見ていくと魅力的に思えるというのは技量だと思います。でも、内容についてはもう少し読者サービスして欲しいと思いました。

高尚そうで深刻ぶったでたらめな思索、妄想の列挙法に組み込まれたリズム、内容を読むよりも試みを読むような、諸行無常なラップでした。

 まず、見たことのない文章表現に驚愕しました。その驚きを保ったまま、読み進めていったのですが、しかしなかなか全容が掴めない。
 四回ほど読んで、ようやく全体像がぼんやりと見えてきたといった感じです。
 今はまだ中途段階という印象ではありますが、語句の見直しやイメージのさらなる明確化など、さらに鍛え上げることができれば、化け物みたいな作品になるかもしれません。二重の意味で、「こわい」小説でした。

変態肉屋の話か?

もう一回読めば輪郭がつかめるきがするが、その気力はない。

タイトルから推理してこれは死体現場とかを掃除する人か、もしくはご遺体を腑分けするような仕事の人なのかなってなんとなく思いました。
でも正直よくわからなかったので他の方の解説を待ちたいところ。
個人的には、なんかボカロの曲みたいだな〜って思いました。

木野目さんの作品は、毎回難解なりにもクセになる味のようなものがあるのだが、今回はそれが希薄であった気がする。
何時もなら何回か読み直して、だんだんと気持ちよくなってくるのだけれど、今回の『洗浄屋のアニー』はもう一回読もうという気になれない。
これを評価するだけの知識が自身に無いので、星はつけないでおく。

twitterに投稿された感想を集めました