裏。濱村帆津美 への感想

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評価平均

発想4.3
構成4.2
表現4.2
総合4.3


「裏。」への感想、ありがとうございました。濱村帆津美こと鰐屋雛菊です。お一人お一人へのお礼と返信は、後日Twitterを通じて差し上げたいと思います。今しばらくお待ちください。
 ところで今回は、鰐屋と同じ「かきあげ!」のスタッフである銀氏より「描写を控えめにして、きっちり完結しているものを書くこと」というリクエストがありました。描写過多は私の悪癖とでも言うべきもので、もしこの制限がなければ、本作はいまの形で皆様にお目見えすることはなかったでしょう。この場を借りて、お礼申し上げます。ありがとう、銀さん。
 スイーツを楽しみにしています! (๑・﹃ ・`๑)ジュルリ

これはすごいと思った作品でした。
以後、短編を書くときの参考の一つにしようかと思ったぐらいです。
(裏。)の表現が見事過ぎる。
個人的に扱っているものや表現されていることも好きなものだったので余計なのかもしれませんが、とにかく面白かったし、怖かったし、考えさせられた。
完成度が高くて、あまり突っこめるところがないくらいです。
いい物語をありがとうございました。

いいですね。奇妙なテーマと文章の質が合っており、読者をひきつける求心力になっている。
近代以降様々なジャンルで育まれた奇妙な空気がこの作品の中にも宿っているように感じられる。
怪しいものを怪しく書くというのは案外難しいものなのですよね。

失望、裏切りのショックから相手の皮に手をかけるという思考プロセスだけ、少々不自然に感じました。
もう少し尺を差し上げられるのであれば、結末に必然性を加えてほしい。
そうなると本当に嬉しい。

 コメントのみ書き込みます。
 大変におもしろうございました。
 以上、読ませていただきありがとうございました。

自分が通っている道場では体の背中側を表と言います。まあカメだってワニだって裏返ったと認識するのは一般的にお腹が見えた状態です。冒頭でジャガイモの裏を見ようとして見れなくて、目が手のひらにでもついていなければ、という描写があります。しかし、それでも手のひら側から見ればそれは表となり、やはり裏側ではありません。ではひざの裏はどうなのでしょう?目の前にあるものが表なら、そこは「ひざの裏」と形容される体の部位の表側ということになります。この作品ではそういう曖昧なもの=主観的な価値観に魅入ってしまう怖さ、というのがうまく表現されていると思います。導入〜中盤までの柔らかな雰囲気から、このまま終わるのかと思いきやまさかの急展開。この構成も私の心情を表現するのに最も効果的だと思います。さらには、狂気を孕んだラストの余韻がうすら寒さを呼び起こして、いい意味で後味の悪さを覚えました。
これは傑作だと思います。

非常によくまとまってて読みやすく、なかなかの読後感(気分は置いといて)でした。

 前半、ジャガイモの桂剥きが山のように出来たあと、三日かけてスープとサラダにして食べたというエピソードが、「美味しかったです」という一言でなんとなく印象深くなっていたり、洒落でなく骨が折れるという笑える表現があったり、しっかり人に読ませる文章になっているなぁと思いました。
 後半の方は、どこかでもう少しアクのある表現があった方がよかったかなと思いました。「私」の変態さ加減というか、狂ってんなぁと感心できるような部分というか、そういうところが一か所あるだけで、もっとゾッとする話になるかなと感じました。

 はじめ、ジャガイモの裏が見えないことに自分で悩んでいたのに、そのことについて「彼」に回答を与えられるとキレるという構図が面白かったです。裏がなかったから裏が見えなかったんだ、という結論に至らずに、裏があるはずなのにないと言い切る彼は私を馬鹿にしている、となる理不尽なずれにうわぁってなりました。
 裏表のない人、という表現がありますけど、「私」は言葉通りの意味で裏表がない人なんでしょうね。だから、彼の裏を見たのは、見たかったからという表の理由がそのまま真実で、そこには裏なんてないのに、病院のスタッフにも事件の裏を探られて、その視線が気になってしまう。「私」のキャラクターが確立しているだけに、病院のスタッフの方が悪者のように見えてきます。

 内容と文体がよくマッチして不思議な雰囲気を醸している。ウーム、安部公房の『デンドロカカリヤ』を思い出しましたぞ。

 最序盤の『裏』に対する語りに心ががっちりつかまれました。そうだよねそうだよね、などと主人公に共感しているうちに、『彼』の嘲笑がやってきました。この時は主人公ほど心を動かされはしなかったのですが、やはり、なんともいえない気分を味わいました。『彼』がああなってしまったあとの展開も、読みやすかったとはいえ、すとんと納得できたため、引き続き、そうだよね、などと思いつつ、終わりを迎えました。とにかく、読まされる一本です。

何気ない日常の発見から執着、そして他者との出会いと愛。
すべてが「裏」というテーマに添って繰り広げられて、最終的に主人公が裏に取り憑かれる。
引きこまれました。
全編丁寧語で語られているところもまた主人公の自覚のない狂気を想像させて恐怖を煽り、最後には他人の裏に執着するという終わり方もこの先の物語を想像させます。
細かい部分で指摘があるとすれば、冒頭にあるジャガイモの皮は向いた時点でどちらも表という考え方は面白いと思いましたが、その理屈でいうと靴の裏も膝の裏も目の前にある時点で表になってしまっているのではないでしょうか。
それから彼氏に指摘されて焦る主人公の「我見る、ゆえに裏あり〜」は少しコメディよりになって空気が崩れてしまっているのがもったいないです。
とても、読み応えのある作品でした。

 裏フェチ。目の付け所が芸術的。ラスト、確かにあそこの裏は見てみたいよね、で共感。でも、考えてみると多かれ少なかれこれは誰もが持っている性癖ではないかな。物の裏、隠されているものが見たいっていうのは。
 間違ってはいけないのは、「フェチ」が悪くてこのような結果になったのではなく、彼女が持つ自分のフェチへのプライドというか、自分の劣等感が病的だったゆえに起こった事態だという事。他人に害をもたらさない興味だけのフェチは悪くないし、むしろ芸術的には推奨される感覚だと思う。普通のフェチだった女性が狂気に至るその過程がやや急激すぎて説得力に欠けるように感じた。
 ジャガイモの皮の裏は、茹でて剥くと簡単に見られるよ。

コミカルな語り口に反して、というかそれ故になのでしょうか。芯に響くような恐怖感がありました。じつはわたしも(裏。)が気になってしかたないのです。

 問題はこだわる対象の「裏」ではなく、やはりこだわりかたなのだなあと思いました。少なくとも前半は、ちょっと変わった物の見方をする主人公だな、で済んでましたから。
 全体にまとまり良く、文章のテンポも良く、読みやすかったです。とくにこういう内容を、わざとらしさなく書く抑制の効かせかたは上手いなと思いました。

狂気とは次第に水面下で立ち上がると言いますが、実は日常生活を送る我々も、知らない間に狂っているのかもしれませんね。
彼との行き違いの理由を、もっと異様なものにすると作品自体の不気味性はますと思いますが、そうすると説得力がなくなるのかもしれません。
難しいところですね。

面白かったです。語り口の妙と言いますか、
軽くて手頃に良く纏まった短編でした。
欲を言えば、もっと裏という題に相応しい裏側を、
余程にぶっ飛んだものが潜んでいれば良かったですが、
その場合、この纏まり具合も損なわれていたと思いますので、
これはこれで、という所でしょうか。

上手いと思います。が、気持ちのいい話ではない。それはこの題材を選んだ時点で作者さんも承知の上だと思います。むしろうすら寒さを読者に感じさせたら成功でしょう。そういう意味では成功していると思います。
好みは分かれると思います。
ジャガイモの裏から始まって、ひざ裏の彼に至るまでの導線は見事だと思いますが、そこからオチへの展開に少々性急さを感じました。
しかし、語り口の滑らかさで最後まで読ませる筆力は素晴らしいと思います。

途中はにやりとしてしまうけとも、最後は怖い、展開が好きでした。

これは掌編として完成していると思いました。はじめは(裏。)の意味がわかりませんでしたが、はなしが進むにつれて耳元で囁かれるような狂気と恐怖を感じました。とても面白かったです。

良い狂気を見ました。
>(彼の、裏。)
この数文字に込められた狂気の濃さ、闇の深さ、大好きです。

簡単なように見せていますが、語り口といい、包丁の持たせ方といい、シーンの省略の仕方といい、精妙に練られていると感じます。
描かれていないスタッフの今後も、とても心配。
読み手が勝手に補完できるように仕掛けが為されているので、文字数以上の物語を堪能できました。
たぶん、読者を選ぶ作品だとは思いますが、個人的にはどストライクです。

 じゃがいもから結末のそれに至るまでの過程が、なかなかユニークで、面白いなと思いました。多少無理矢理な気がしなくもないですが、ぼくは語り手の女性にはなりきれないので、そこまでは断言できません。彼女にとってはそれは当然の成り行きだったのかもしれないですし。
(裏。)の置き方もよかったと思います。淡々としたそれらの一言が、作品の尋常でない雰囲気をより醸し出しているようです。

目の付け所がいいですね!
優しく丁寧に書かれた文体が、狂気を鋭くえがきだしています。これは恐れ入りました。

自分とは違う思考パターンを覗くのは、小説の醍醐味のひとつですよね。
面白かったです。

これだけ短い作品では話がループする構成などもときおり見ますが、これは(裏。)でさかのぼっているのでしょうか。あるいはカセットテープをひっくり返す。いずれにしても巧妙かつ珍奇な時間の流れ、しかも力みすぎるところがなくすっと入り込める作品です。

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