空飛ぶ絨毯とペンギン沖田灯 への感想

閲覧数1596
コメント数24

評価平均

発想3.5
構成3.6
表現3.7
総合3.6


ふわふわしている。開放的な、というよりは、行き場をなくした浮遊感。
文章は癖がなく読みやすくはあるんだけど、余計な情報が多いからか特に前半から落ち着かなかった。

夢の中にいるような、浮遊感に浸らせて頂きました。ペンギンの真面目なのかふざけているのか判断しかねるのらりくらりとした感じも、空飛ぶ絨毯のファンタジー具合と相まってシュールで好きです。
僕とペンギンとの間に流れる空気が心地よかったです。

扱っているテーマはとても重いものだと感じたのに、それを素直な言葉と文章で表現しているのがすごいと思いました。
個人的にすごく読み易いと感じました。
全体的に浮遊感を感じさせる作品だったので、最後まで心情的な足がつかなかった感じがありました。
でも、それが良さともいえるので読後は不思議な感覚でした。

ここでペンギンの正体を明かせばSFとなるのでしょうが、ペンギンも絨毯も謎のままなので、一歩大人よりの文学になっていると思います。私の好きなタイプで、面白く読めました。

 コメントのみ書き込みます。
 ペンギンが「Genie」に思えて仕方がありませんでした。
 以上、読ませていただきありがとうございました。

主人公は「空飛ぶ絨毯」を購入して、包装を破ってそれを撫でて羽の匂いを嗅いで、それからペンギンが現れた。
つまり絨毯には幻覚作用を引き起こす薬物が仕込まれていた、と思った。
主人公にはペンギンについての思い出があり、絨毯に乗って見ていくのは自分の過去だった。つまり、主人公の経験にないものは出て来ていない。
一度目が覚めて寝てから、もう一度ペンギンが現れたことを考えると、絨毯に仕込まれた薬物が匂いとして部屋の中に充満していると考えた。
薬物の効果が薄れるか、薬物に慣れるか、はたまた部屋からでない限り、彼は延々とペンギンと空を飛び続けるんじゃないかと心配になった。

文章の質と問題提起があっている。スルリと入り込むものを宿している。

それを崩してしまうバランスが惜しい。
「前にこの部屋に住んでいた人が昨日、自殺しました」
のくだりまではシュールで続いていくのかと思いきや、展開がシュールな反面問題提起が直截で、違和感がある。
メッセージをもっともっと醗酵させて、物語の中に埋没させるほどにしてしまえば、奇妙さを内包した面白い作品になったと思う。

飛べなかった現実に希望を失い、死へ向かうもう一人の自分がペンギンなのかなと思いました。また、もともと飛べなかった自分を直視した姿かなとも。紫と白のだんだら絨毯は、そんな想いを抱えながら死する場所(時)へ誘うアイテムではありますが、それまでに既に飛んでいるとペンギンが気づけばいいなと思いました。

 透き通るような、玲瓏な、すごく好みの文章で、この作品をきれいな声の人に音読してもらいたい、と思いました。

 難癖をつけるなら、ペンギンの目の表現について、もう少し気を使われているといいなと思いました。首を絞める時、何も語らない目と書いてあるのに、夢の中では言い返せますか?と問いかけてくる目になっている。さらに前にも、絨毯を見た時に「神聖なものを見るような」と感情が現れている。ペンギンはどうしたって動物なので、常に「何も語らない目」である方がむしろ自然で、それゆえに力強い表現になると思いました。

 冒頭、なんに対してもイライラしていた主人公が、最後には嫌な生きもののにおいを風に感じても舌打ちしないようになっている。なにげない描写なんですけど、繊細な変化を感じられて、明るい話ではないのに読後感がとても爽やかでした。

 希望はなくしかし捨てもしない、それが見事に表現されています。
 内容的には人によってはまったくなんだかわからないかもしれないけれど、難しい表現は一切使われてない。気取りのない率直な作品だと思う。

ペンギンはどこから来たのか?自分の心を具現化した幻か、夢の住民か、それとも絨毯を撫でたことで(玄関から)やって来た絨毯の妖精なのか…。この作品に内包しているメッセージ性は深くて身につまされる部分もあり、問題提起としては良かったと思います。ただラストの、少なくとも、そこへ辿り着くまでは互いに飛び降りず、死なせずにいよう、と互いを思いやる心情あるいは連帯感が、なぜそう思うに至ったのか、心境の変化の経緯がよくわかりません。少なくとも、あなたも死になさい、といったペンギンにそう思わせる理由は見当たりません。なんか無理やり良い話に持っていこうとしているように思えて、ジャンプの読み切りとかでありそうな作品だなあと感じてしまいました。目指すべきはそこではなく、笑ウせえるすまん的な寓話であってほしかったと、自分は思うのです。

押しつぶされそうなほどに切なくなりました。
お互いを思いやる気持ちが最後に残ったことで、わたしの心も救われたようです。

 なんともいえない話。当初はいくつか引っかかる文章があって集中しにくかったのですが、進んでいくにつれて、さほど気にならなくなりました。夢の中で振りかえった人生のほろ苦さや、ペンギンとの冷たい問答は、それなりの重さを持ってこちらに襲いかかってきました。ラストシーンのもやもやは、消化不良なようではありましたが、この短編にふさわしいように思えました。ただ、オチがもたらしたもやもやはこの話全体を支えるだけの力は持っておらず、読者であるこちらにもたらされたふわふわもまたふわふわのままそこにあり、最後の最後までしっくりこないままだったように感じられました。

 感想を書こうとして、たぶん35作品中もっともあれこれ考えました。考えたけれども言葉が空回りしてしまう。これには私自身の萎縮もある。空回りしているのは、おそらく私の自意識だ。驕りだ。その自戒とともに、忘れ得ぬ作品となるだろう。

 すごく好きだ、尖っている。読み手をグサグサ刺して、切り立った山の突端に立たせて、そのままトンずらこかれた気分だ。メルヘンみたいなのにすごく冷たい、何を言いたいかはっきりとはわからないけど心に引っかかる。一つ一つの事柄はとても読みやすいのに、霧の中で沼にはまっていくような深淵がある。なかなかここまで表現できるもんじゃない。読み手によって好き嫌いはわかれるかもしれないけど、私はとても好きだ。

夢の世界のような、夢の中でまた夢を見ているような、不思議な感じのお話でした。
主人公はたぶん鬱の病にかかっているんだと思います。ペンギンはもう一人の自分であり代弁者なわけですが、一方で主人公に自殺を進めている辺り、鬱患者が「世間の声」だと思って聞いてしまう自らを否定する幻聴の象徴のようでもあるな、と思いました。
しかし、再び見る夢の中でお互いを死なせまいとする意識の変化には僅かながら希望が見出せるようで、良い終わり方だと思いました。

 作品を通底するテーマには共感を覚えます。そういうことってありますよね。
 しかし、結末がごちゃごちゃしているように感じられます。最初の、ペンギンに出会うまでのシーンを、もう少し短めにして、その分を最後に割くと、ちょうどいい感じになったのかもしれません。あくまで自分にとってのちょうど良さ、ですが。

面白いと思いました。ありきたりな話になりそうなところを単なる切実さとは違うところで仕上げたのはセンスだと思います。

話があっちに行ったりこっちに来たりするので、ついていくのに苦労しました。というか、読み終えた今も、ちゃんとついていけたかどうか自信がありません。
「生き方」に関する問題提起がなされているように見えるのですが、問い方も答え方もふんわりしていて、掴みどころが見えづらいです。私の頭が悪いだけかもしれませんが、もう少し整理していただきたかったです。

言いたいこと、伝えたいことは沢山あるのは分かるし、共感もするのだけど、個人的には文章が合わなかった。

浮世離れしている様で出来ていない、この空気感が好きです。
ただそれだけに、分かり易い展開や思弁に過ぎる台詞、
或いは些細な描写のちょっとした違和感等、
所々での齟齬が強く感じられてしまったのが、個人的には残念な所。

ペンギンで思い出すのは、ファイトクラブという映画で主人公の瞑想中、何かを暗示するように登場したやつ。
この作品でも、おそらくは自分自身のメタファーとして、その役割を存分に発揮している。
作中ペンギンは、主人公を決定された未来へと導くように振る舞う。
しかし最後に残ったのは、歪ではあるが互いに対する思いやりだった。
あらゆる災厄が飛び去ったあとに希望が残されていたという、パンドラの箱の逸話を思い出した。

これは、胸にくるものがありますね。空を飛びたいペンギンというのがすごくシンボリックで、何かを訴えてくる。
生きてりゃいいことあるよ、人生悪いことばかりじゃないよ、と言いたいけどサッサとぽっくり死んじゃいたい自分もいる。
胸に迫るものがある作品でした

 穏やかで地獄のようなお話。作品としての完成度もとても高く、印象に残りました。ペンギンにはなんとなくモグタンを見てしまいました。

twitterに投稿された感想を集めました