空飛び鯨の旅立ち七瀬 亜依香 への感想

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評価平均

発想3.5
構成2.9
表現4.1
総合3.4


バブルネットフィーディング、そんな映像が浮かびます。下村女史の曲でも聞きながら読みたい。
子供を育て終えた親だけが飛んでいくんですかね。そうするとこれは旅立ちでもあり親子の別れでもあり、切ない情景だ。

世界観が素晴らしかったです。例えば……、宮沢賢治の小説や詩を読んでいるようでした。
しかし、状況描写に関しては、まだまだ延びしろがあると思います。

描写が美しく読ませる文章でしたが、反面物語性はちょっと薄め。
ただ「見に行く」のが目的ではなく、「証明する」のが目的なのだから、カメラなりビデオなり出して撮影するべきだったかと。

題名から既に何が起こるかわかりましたが、案の定とても美しいて描写で五感が刺激されました。
ただこれだけ大ががりなイベントが、世に知られていないのが不思議です。少なくとも船乗りには、知っておくべき情報でないかと。少年の故郷が伝わらない程遠地ならば、少年の旅立ちと絡める意味も薄くなる気がします。
少年にとって竜との出会いの方が人生の岐路として重要なので、こちらが大変気になった次第です。

 祖父の話を証明する、というより確認する、あるいは体験する、ですね。証明するだけなら、竜が目覚めるところを村人に見せればいいんですから。旅をする動機としては「見たい」だけで十分なので、ここは言葉選びの難しさだなと思います。

 少年に名前が欲しかったです。この少年、その身に余るリュックサックを背に世界中を回っている、確かな信念を持った少年なので、もっとこの子について知りたかったという思いがあります。名前があるだけで一気にいろいろと想像の幅が広がるのに、「少年」だともったいなかったかなと思いました。
 また、灯台守との会話の部分が浮いてしまっていて、どうしてかなと思っていたのですが、どうも会話の内容と実際の現象が噛み合ってないのが要因のようです。「漁に出られない」というわりには、夜明けにしか海は荒れないですし。海が荒れる日こそ灯台は火を絶やしちゃいけないはずですし。

 きらめくような風景の描写が魅力的でした。美しかったです。

幻想的な光景に少年の成長と旅たちを込める狙いは、清々しく気持ちいい。

しかし、この作品に必要な幻想や美しさが薄く感じられる。情報過多気味であることや、少年の力強い言葉が起因して、現実味が強いのだ。
情景と心情を交錯させ、境界を曖昧にさせたほうが、もっと魅力的になるように思われる。

 はじめて小説に触れたときを思い起こさせるような、非常におもむきのある作品。はじめに読んだときはこれは描き切れていないと思ったが、掌編として適切な編集だったのかもしれない。
 ファンタジー色が強いところを除けばなんとなくウィリアム・サローヤンを思わせる。

 映像的で躍動感ある描写がすばらしく、その風景ごと完成されていると思います。そして空飛び鯨の物語は終わり、少年の旅は始まる。きれいで清々しいお話でした。

物語全体から溢れる青色がとても印象的で、空と海の持つ幻想性を思い出させるいい物語でした。
物語を構成するうえで扱っている材料の選択がとても良かったのかなと思います。
冒険に出掛けなくちゃと思わせるラストシーンは心躍ります。
大きな物語の序章、一枚絵だけで完結された世界を思わせる雰囲気が染み入ります。

最後のシーンに向けて徐々に盛り上がっていく部分は、タイトルから予想はついているものの見事でした。
これのイルカバージョンが映画にあったような気がしたのですが、勘違いだったらすいません。
本作は、潮の匂い、砕ける波頭と相まってクジラの重量感がよく出ていました。だからこそ、雄大で力強い飛翔に少年は感動したのでしょう。

 コメントのみ書き込みます。
 思い出したのは『シュナの旅』と『祈りの海』でした。
 以上、読ませていただきありがとうございました。

冒頭から中盤までは少年の少しだけ非日常的な話しなのかと思っていたら、一転、壮麗なファンタジーに切り替わる。その展開に一瞬おいてけぼりをくらいますがタイトルがタイトルだけに無理はなく、それでいてしっかりと構築された世界観に引き込まれました。描写やセリフにも違和感や独りよがりなところもなく、美しい情景が目に浮かぶようです。とても上手だと感じました。内容もシンプルで良かったと思います。

ジュブナイルだ! ジャーニーだ!
ワクワクが止まりません。
少年と竜はどんな旅を続けていくのだろう。
想像が膨らみますね。

小さい竜いいですよね。肩に乗せたい。
空へ昇っていく鯨の光景が幻想的です。ぜひ、加藤洋之+後藤啓介 氏のイラストで見てみたいお話でした。
少年がこの先、竜と共にどんな世界の不思議に出会っていくのかと思うと、夢が広がります。

魅力的な世界を高い筆力で描いていて、とても引き込まれました。
主人公の少年自体に際立つ魅力があったとは言いがたいですが、完結した短編としてはかえってそれくらいの方が邪魔にならず良いのでしょう。
ロマンあふれる作品でした。

 作品世界の雰囲気と主人公の回想なんかは好みです。ただ、書いてあることは割合簡単なのにもかかわらず、なんとなく文章が頭に入りにくかったです(上手く理由が説明できないあたり、読者であるこちら側の個人的な趣味嗜好が原因かもしれません)。作中のゆったりとした雰囲気はこの話によくあっているように思います。鯨が飛び立つシーンと主人公が過去を振り返るシーンを頭の中で再生できた時は少しうっとりしましたし、冒頭辺りの文章にはわくわくさせられました。

嗚呼、さようなら、今まで魚をありがとう。

冗談はさて置き、過不足無く美しい物語でした。
文章も描写も何もかもがしっくり纏まっている為、
余り言う事が無いです。いちゃもんを付けるならば……
最後の「Fin」は要らない、位ですかね、はい。


 美しい物語。ファンタジーの世界感を丁寧な描写で構築しているので、違和感なく小説に入り込める。特筆すべきは、情景描写の精密さ。「水平線へ近づけば近づくほど先走りの闇が空の端からじわりじわりと滲み出している。顔面へ吹きつける潮風は夜の気配がした」夜明け前のひと時を、こんなに美しく描けるなんて羨ましい。
 惜しむらくは、灯台に灯をともしてはいけない理由が書いていなかった事。この真面目そうな主人公なら禁を侵さないだろうと知りつつも、もしかしてクジラたちがパニックを起こして大水害を起こすのでは……とかいろいろ想像してしまったので、心残り。あと、最後に出てきた龍もちょっと唐突だった。もしかして、この竜と少年で連載物になるのかな???(期待)

 海とその周辺を舞台にした物語は好きなので、これについても楽しんで読めました。空飛ぶクジラを想像するのは、それだけでも大きな喜びです。でかい物体が飛ぶというのは、古くからの人類の憧れなのかもしれないですね。飛行船とか。
 ただ、空飛ぶクジラの出現を明かす文章が、この物語の根っことなっている以上、タイトルをもう少し「隠す」ようにした方が良かったのかもしれません。「空飛び鯨」となっている時点で、読者はファンタジー世界を想像し、身構えてしまいます。それでは終盤の驚きは半減します。最初のうちは、このままリアリズムで攻めて、最後になって、実はファンタジーだった……とすると、読者に与えるインパクトが大きくなったのではないでしょうか。

ロマンですねえ!!少年と竜にこれから訪れるであろう世界の秘密を巡る旅の幕開けに胸が高鳴ります!!
情景の描写が丁寧で、言葉の選び方もファンタジーな世界観をしっかりと作り上げていると思いました。
せっかく鯨たちが飛び立つ最大の見せ場があるので、その後の竜の登場によりそれが少し霞んでしまったのが自分としては残念でした。ともあれ、不思議で美しい物語を堪能させて頂きました。

ストレートな話だと思いました。書きたいことを表現できていると思いますが、話としてはもう一工夫欲しいと感じました。

映像的、絵画的に楽しめる作品。壮大な光景が丁寧に描写されていると思います。
一方、物語としては工夫の余地あり、という印象です。
主人公の旅のことが一応語られていますが、基本的に鯨が飛んでいくのをただ見てるだけになっていて、主人公に魅力をあまり感じませんでした。
「主人公をきちんと動かすための仕掛け」を意識的に用意されると、より良いものになると思いました。

読ませる文章だけに情報過多になりすぎているのがもったいないと思いました。
設定を余すところなく書きたいのでしょうが、空飛び鯨の一生は省いた方が良かったように思います。それがあるために鯨が空を飛ぶというインパクトある画が、残念ながらぼやけているように見受けました。
あと、少年と鯨との距離感をつかみきれず、脳内で何度も像を結び直してしまいました。
とはいえよく出来た物語だと思います。

素敵な世界観です!

掌編としてはもっとメリハリある事件性が欲しいところ。
細かい語句、表現の使い方が素敵でした。

終盤のの説明的な文が個人的には少し残念な感じがしましたが、鯨の描写は美しく心地よくなる作品だと思いました。

 きれいな描写なのですが物語としての演出が希薄で小説というより迫力のある絵を見ているような印象でした。

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