富くじ騒動樹莉亜 への感想

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評価平均

発想3.5
構成3.9
表現4.1
総合3.9


 拙作をお読みくださった皆さま、感想をくださった方々、ありがたくも拙作に投票してくださった奇特な方々に、心より感謝申し上げます。


 この話は、蘇民将来またはそれに類する説話、民話のパターンを踏襲した物語と言えるかと思います。

−−あるところに旅人が一夜の宿を求めてきましたが、裕福な弟は無碍に断り、貧しい兄が粗末ながらも精一杯もてなしました。再びその旅人が現れた時兄の娘は助かり、弟の一族は滅ぼされてしまいました。旅人は実は神様だったのです。−−

 というのが、この手の話の大筋で、皆さん一度は見たり聞いたりなさったものかと存じます。拙作でも前半の作りはこのパターンをなぞり、狸親爺が裕福な方、又三郎が貧乏な方という配役で、貧乏神をもてなしています。また、貧乏神を大切にすると福の神になるとか、貧乏神を追い出す術を教えてもらえるという話も江戸の頃からいくつかの文献に登場しているようです。
 しかし今回の貧乏神さんは、いささかひねくれ者だったようで福の神になってオールハッピー! とはいかなかったようで、なんだか皆さんをモヤっとさせてしまい申し訳ありません。

 さて、富くじが当たった又三郎、何の得もしなかったかというとそうでもなく、同じ長屋の中ですが、少し広い家に引っ越しました。最初の棟割り長屋というのは四畳半のワンルームでしたが、勝手口付きの少し広めの家に移ってます。前納した家賃は狸親爺が勝手に使ってしまいましたが(笑)。たぬきはほんとにもうしょうがないやつです。
 又三郎が聖人君子すぎるのではというご意見も多く、私もそう思います(笑)。好きなんです、そういうキャラが。しかしこの男はつくづく掌編にはむかないなと思いました。

 さて、次回は諸々思うところがありまして、妖町はお休みする予定でおりますが、またどこかでお目にかかれる日が来ることを願ってやみません。
 ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。

樹莉亜 拝

業の肯定ではなくて、綺麗に終わるところがファンタジー。

騒動というほどの騒ぎでないのは、又三郎さんが飄然としているからかな。大金が手に入りそれを周囲の面々へ惜しげもなく分け与える又さんが、かえって人間離れして見えました。貧乏神の思惑がなるほどです。

 なんとももやっとするお話でした。又三郎はやっぱりいい男!なのですが、その裏で、妖町の面々がちょっとお茶目すぎやしませんか。それすらも、貧乏神の霊験あらたかな証ということでしょうか。

 起きている事件が富くじ一等という大変なことなのに、終始穏やかなペースで進んでいくのが又三郎らしさなのでしょう。騒動、というわりに落ち着いていて、それでもちゃんと最後にほんのり得をしているのも、貧乏神の思惑を裏切っていていいです。読者としては、どこかでつい盛り上がりのようなものを求めたくなってしまいました。これ一話だけを読むよりも、妖町短編集の中に小話として入れると落ち着きが良さそうに思えました。

非常に洗練された美しい物語でした。ほとんどつけ入る隙がなく、数多い読者の思考を瞬く間に牽引させる力は、専門外ながらこちらも書く身ゆえ惹かれるものがあります。誰もが一様に安心して楽しむことの出来る物語を書くことができるということは、あらゆる場所、あらゆる方向に顔を向けているまとまりのないものの状態から、冷徹な目で以って、それらに共通する要素のみを取り出すというある種審美的な能力が非常にあるということで、近代以前に遡ることすら可能な「語り」としての普遍的な力が具わっているように感じ取られます。脈絡のない読み方ゆえ、当テキスト外の前後関係は掴めませんが、「じいさん、やっぱり貧乏神だったのか。……」という台詞やその周辺のいきさつは、省略された表情を想像させる空欄に満ちているようでかなり好きです。

なんというかこう、情けは人のためならずみたいな話は好きだ。
又三郎の人柄が前面に出てくる構成も好きだ。
ものごとが好転するわけじゃないのだけれど
欲のない性格が知らず災いを退けていた。
という顛末に捻りがあって気持ち良かった。
分をわきまえている人はちょっとやそっとでは崩れない。

儲けた途端に又三郎にたかる近所の人々のいやらしさがなかなかに素敵だが
若干もやもやするが。
「まあ、良いじゃねえか。一度渡した金だ、どう使おうが人の勝手さ」
うん。かっこいい。

 決して派手ではないのですが、卆なくまとまっています。ところどころの人や妖怪たちの動きや仕草なども、楽しく読ませていただきました。ただ、又三郎がやや聖人過ぎる気がしないでもなかったです。なんの背景もなしにぱっとこの又三郎を見せつけられると、なんとなく浮いているような印象が強まってしまいます。とりわけ、前述した話自体が派手ではないという点が、この又三郎の異物感を強調している気がしました。一応、終盤で『諦観にも似た微笑み』という文によって、この又三郎の人間性を補足するようにして説明してはいますが、前述した浮いている部分を完全に消し去るほどではないです。もっとも又三郎がこういう性格でないと、この話自体が成立しないので、いたしかたないところでしょうか。

市原悦子さんと常田富士男さんの掛け合いが聴こえてくる・・・。
狸親父は比喩でなしに本物のたぬきなんですね。余談でしてやられてるし、狸親父なんか可愛い。
又三郎は人間ですよね? 冒頭で触れたように変わり者なんですの。
うーむ。自分は間違いなく貧乏神の大好物だな・・・。

 スタンダードなオープニングに戻りましたね。そして久しぶりに又三郎様の登場です。このお方は以前から飄飄とした方でしたが、貧乏神が舌を巻くほど無欲とか、どう生まれついてどんな生き方してきたんだろうと、益々気になって来ました。七百両を手にしてうろたえもしないって、実は大金を見慣れてるのかしら。逆にあやかし連中の反応が俗っぽくって、あやかしといっても彼らは「江戸庶民」なんだなあって親しみが増しました。
 しかし毎度毎度この文字数の中に読ませる筋が一本通ってて、コミカルなやりとりがあって、おもしろうんちくもサラッと混ぜ込んでくる。ほれぼれします。

この貧乏神、人を見る目があるのかないのか…。貧乏と冠していてもそこは神様、その神通力すら霞ませるどこまでも気っ風のいい又三郎をさすがと褒めるべきなのでしょう。それでも最終的に、さもしい狸親爺のおかげで貧乏神の面目も保たれ、すべて丸くおさまりハッピーエンド。ちょっとした皮肉も利いてて面白かったです。
ところで、気分屋が悪所で買う娼妓は人間なのか妖なのか、どっちなんでしょうね?

毎回思いますが、背景がしっかりとしていてキャラクターが生きていますよね。貧乏神が言っていることはまさに教訓でオチも好きです。面白かったです。

 貧乏神の理屈が面白いです。なるほどと膝を叩きました。
 今回は「人の良い」一人と一柱と一匹が紡ぎ出す、起伏が少ない優しい話で、僕的には非常に好みでした。

 前回と比較すると小ぶりな作品になっているなと思うのだけど、節目になるようなお話の後というのはとても難しい。シリーズになるとお話ひとつひとつとはまた別個に、シリーズを通してみたときに必要なお話というものがどうしても出てくると思うんです。
 そういう、作品そのものだけではなく、シリーズ全体を見たときのバランスの取り方が非常にうまい。今回は「これまで通り」にしっかりとした構成になっているのだけど、「ああ、またこれね」とならないのはやはり基礎がしっかりしているんでしょう。ありがちな話をただありがちに書いてしまうということがない。ぼくはそういう作品はいくらうまくってもうまいぬり絵にすぎないなって思ってしまうんです。まあぬり絵がうまいのだって大したモンなんですけど……。

 これまでの登場人物、又三郎はもちろん豆腐屋のお母さんもチョイ役で出てくるなど細かいサービスも行き届いている。というか妖町シリーズにはそういうあそびが随所にあって、他にも読者(ぼく)の気づいていないような仕掛けがたくさんあるんでしょう。でも気づかなくても読めるし、逆に言えば読む邪魔にならないように仕込まれているからこのシリーズは多くの人から評価されるんだろうと思います。おもしろかったです。

 余談ですが『親子探偵』の神宮寺(父)が又一郎という名なんですが、実はこれはじめに考えていた名前は又三郎だったんですよね。かぶらなくてよかったです。

もうー(笑)
いつもながら、うまくていいなあと思います。
安定感と、すっきり爽やかでまだ浸っていたいなーと思う後読感。
大好きですー♪
どこかにある物語のようでいて、やはり作者にしか出せない味がある。
設定が分かりやすいから、尚、おもしろいのかなー。
物語の感想ではなくてすみません。
又三郎は本当に欲のない人ですなあ。
変わらない生活を送りたいっていうのも分からなくはないけど。もう少し美味しいものを食べたりしても良かったような。いい人ね。

人を選んで店先に陣取っていたのに、他所に連れていかれた哀れな?貧乏神。
化け狸さんに取り憑いてたら、満足できたのに?

小学校の図書館で、帰るじかんまで没頭して読んだ昔話を思い出しました。
欲ばらないでにこにこしていたら、バチは当たらないとか。
いい行いをする正直者には、いい事あるとか。
何ものこらないで、ちょっとうきうきできた。そういうのが一番しあわせなんでしょうねと、ほっこりしました。

貧乏神さんを大切にすると幸せになれるっていう地方があるって、
テレビで見たなあって、
そんな記憶もうっすら思いだされて、にこにこでした。


宝クジが当たると親戚が増えると申しますがw

なんとも欲のないお人だ。貧乏神も張り合いがなかったことでしょう。
いや、周りがヘマしてそっちで満足したかな?
面白かったです。

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