未耳《イマダミミニセズ》水野洸也 への感想

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評価平均

発想2.8
構成2.6
表現3
総合2.5


面白くなるのはここからなんじゃないの、と思いました。場面の選択が最適でなかったような気がします。

たとえばこれが漫画やアニメや実写映画であれば、そのシュールな絵面に面白みがあったかもしれない。でも文章でこれを表現する意味は、今作からは残念ながら見出せません。
なんせ、ゾンビに普通に感情があり、普通にコミニケーションを取り、普通に日々の生活があるという設定に、なぜゾンビである必要が?という疑問が拭えないからです。
【設定編】を読んだときはこれは面白そう、と思った。でも実際に物語として綴られた本作を読むと微妙だった。というのが正直なところです。
この設定を読み物として活かすには、また違ったアプローチでの演出が必要だと思います。その演出方法を見つけてはじめて作品として成立するのではないでしょうか。

先日「高慢と偏見とゾンビ」っていう映画を配信で見たんですよ。ベースは恋愛ものなのに、そこにゾンビ混ぜちゃったらなんかもう、ゾンビアクションの方が気になっちゃうっていう映画でした。混ぜるな危険。
しかし、ゾンビ好きな人は一定数いるんだろうなぁと思いますし、ゾンビが出てくるだけで萌える人もいるかもしれません。なので、「なんでゾンビ混ぜちゃった?」と言うのは野暮かもしれない。
このお話も、登場人物たちがゾンビでなくても成立する話ではあるんですが、やはりあえてのゾンビである意味があったのだと思います。ただ、悲しいかな、ゾンビはビジュアルの気味悪さが重要な点で、文字だけで表現する小説にはちょっと不利な題材だったのかなぁという気もしています。

 もっと楽しくなりそう、というところで話は終わっています。ある意味、この一つ前の設定編以上に設定編な感じがしました(というよりも、キャラ紹介編?)。話自体は救出作戦の手前で終わってはいるのですが、ゾンビたちのやりとり自体は楽しく仕上がっており、これはこれで満足という感じがします。単純にエンタメという前提に立てば、もっと読ませて欲しいというのが正直なところではあるのですが、そのもっと読ませて欲しいは切実な飢餓感のようなものを伴っていません。それは先の展開に対するどきどきわくわく感が薄いというよりは、この話は今の長さのままでもいいんじゃないか、という気持ちによるものです。たしかに足りないという気持ちはあるのですが、このこじんまりした感じが嫌いじゃないというのもまた本音です。

短い文章の中で視点が定まらず、情報がまとまっていない印象。
タイトルと内容のつながりも無理があるような。

これもまたいいですね。
設定編と併せてこちらで一つの感想にさせていただきますが、本来はやっぱり一枠でひとつの作品としてまとまってるものが理想だと思うんですよ。
あちらが設定でこちらから本編開始と考えたとき、こちらだけで楽しめるのかというと、また違った書き方をする必要があるだろうとは思うんだけど、でもまあ、いいかなあと。
競技というか、本にする前提のための文字数制限なんで、それを守っておもしろいものができるのかってーと、結局その制限の中でできることしか出せないし、ただ読むだけの側になってしまえば、おもしろければ何でもいいのですから。
ロメロの系譜として考えると非常に真っ当なというか、そういう風に楽しめる作品でした。(デイまでしか見てないんですが…

 異世界転生モノですかね?と戸惑う書きぶりで、これならゾンビはでなくてもいいのでは? とか頷きつつ、普通にラノベを読む感覚で読みました。
 それが正解ではないとは思いつつ。

設定編のほうでは「ゾンビは不向き」と書きましたが、ここまでくるとそんなことはよくよく承知の上で書いてらっしゃるのだと思えてきました。どうやら余計なことを言ったみたいですね。すみません。

そうなると矛盾や疑問をはらんだまま楽しめるかというところですが、おもしろそうな予感はあれど、おもしろくなるところまで字数が届いてない感じでした。こういう「完結してない」感は、私も身に覚えありすぎるので何も言えないわけですが、一言エールを送るなら、これでいいのだ! であります。この筆致を見るに、どこにも焦りがない。それはおそらく、書きたいことは書けたのだと想像するからです。読者としては足りない印象を抱きましたが、作者さんが足りてるならそれでいいかと思いました。

今作単体の評価をする意味で、あえて前作『設定編』を忘れたつもりで以下の感想を書きます。
登場人(?)物の行動が逐一丁寧に描写されていて、物語にも温かみを感じました。
ですが、ゾンビである必要性が感じられないのと、もっと長い作品から一部分を切り出してきた感が強く、短編としてはどうなんだろうという印象です。
文字数制限が三万字だったら、この作品もっと面白くなるだろうなぁと考えてしまいます。
魅力的な世界観と人物を活かしきれていないようで残念です。

長い物語のプロローグといった感じですね。少年は救われるのか、ネオゾンビの面々はどのように活躍するのか気になりました。

自分は登場人物が短い文章の中でこれだけ増えてくるといろいろ混乱してわからなくなります。キャラクタ付が不十分なまま登場人物が増えていくからかなぁ。

やはり、舞台装置としてのゾンビの意義がわからないし、何を描きたいのかが判然としない。こういった掌編では、やはり作者が描きたいテーマが全面に押し出されて描かれていないと、何を言いたいのかがわからないなぁと改めて感じました

 ゾンビという設定ですが、特にネオゾンビは人間となんら変わりないように感じました。これはホラーという分類ではなさそうですね。

設定編があるから、あの全てが分かっている前提での話です。ということなのだろうけれども、設定全て把握しているわけでもなく、さらにその設定が活かされているかといえばそうでもないような気がする。
ゾンビはなんとなく周知のなのだろうがそれだってあやふやだから別に説明があったのかもしれないけど、それこそゾンビにこだわる必要もなかったようにみえる。

ゾンビ好きです。ゾンビ映画あまり見ませんが好きです。『ショーンオブザデッド』とか。ラストが泣ける。
さて、ゾンビがエモいのはその生と死のアンビバレンツがドラマにエネルギーを与えるからですが、この作品はその逆をいっていますね。序盤のスリラー(ホラー?)な展開から徐々に(急に?)ほのぼのムードになっていきます。前途多難ではあるものの……なんだかこれから始まるような感じですね。あえて逆をいく試みが成功するかどうかはこの後の展開次第かもしれません。
ただ、本当に恐ろしいのは、せっかくのゾンビならではの殺伐さとか無感情さなどが薄れて、無暗にヒューマンな話になってしまう危険性ですね。
文章の端正さが逆に余計にその心配を高めます。が、掌編としてはこれで問題ないかと!

嫌いじゃないんですよねぇ、こういう人間ではないコミュニティの話。先の長くなさそうなエイとの絡みもあるけど、設定枠を設けたわりにはゾンビネタはもっと色濃くあった方が良かったかなと。
説明不要なくらいさも当然にこの世界が存在しているか、たっぷりみっちり設定を盛り込んでくれる方が半端なものより私は好き。