アナログゲーム紹介コラム -Dixit(ディクシット)-

水市

 私の好きなアナログゲームのひとつに『Dixit(ディクシット)』というものがあります。
 何をするゲームかというと、

・不思議なイラストが描かれたカードにナイスなタイトルをつける。
・そのナイスなタイトルを使ってカードの当てっこをする。

 という、ただそれだけです。

 プレイ人数は3~6人(バージョンによっては12人まで対応)。使うカードは84枚、と説明書には書かれていますが、枚数を増やして遊ぶのがオススメです。拡張パックがたくさん売ってるので、混ぜて遊ぶといいと思います。
 前述の通り、カードにはイラストが描かれています。トランプのような数字やマークは一切なく、本当に絵だけです。空まで伸びてる階段の絵とか、自分の身体がバイオリンに変化してるのに平然と演奏してる女の絵とか、建物を食べてる巨大なおじさんの絵とか、カオスでファンタジーっぽいものが多いです。
 各プレイヤーには6枚ずつカードが配られます。
 プレイヤーは、自分の手番が来たら「語り部」になります。語り部は自分の手札から1枚選び、誰にも見せないように伏せて置き、そのカードを表現する言葉を声に出して言います。
 この時、ルール上はどんな表現をしてもいい(単語でも文章でも擬音でもいい)のですが、「詳しく語りすぎないこと」がゲームのコツとなります。
 例えば絵を見たままに「建物を食べてる巨大なおじさん」と言ってしまうと後々不利になります。ある程度大ざっぱな、ふんわりしたフレーズが望ましいです。今の例だと「おいしそう」とか「でかい」とかがいいかもしれません。今回は「おいしそう」と言ったとしましょう。
 語り部以外の各プレイヤーは自分の手札を見て、語り部の表現に最も合っていると思うカードを1枚選んで、伏せた状態で語り部に渡します。
 今回は「おいしそう」なカードということで、各プレイヤーの思い思いの「おいしそう」が繰り出されます。普通の食卓風景のカード、魚を見つめる猫のカード、人間を呑み込もうとしているドラゴンのカードなんかが集まってくるでしょう。
 語り部は、渡されたカードと自分が伏せたカードをシャッフルした後で、それらのカードを全員に見えるように並べます。
 語り部以外のプレイヤーは、並べられたカードを見て「どれが語り部が出したカードなのか」を考えて投票します。当てたら得点を獲得できます。今回の例だと、おじさんのカードが正解。食卓、猫、ドラゴンのカードは不正解です。
 この時、全員が正解した場合、もしくは全員が不正解だった場合は、語り部に得点は入らず、他のプレイヤー全員に得点が入ります。それ以外の場合(正解者も不正解者も1人以上いる場合)は語り部も得点を獲得します。語り部の表現は伝わりすぎたらダメ、的外れすぎてもダメ。中くらいを狙えるナイスなタイトルをつける必要があります。
 また、不正解の人がいた場合、不正解の人が投票したカードの持ち主にも得点が入ります。つまり、食卓や猫やドラゴンのカードに票が入っていたら、票の数だけ得点です。「おいしそう」というイメージに近いカードを出した人ほど有利になる仕組みです。
 得点計算が済んだらその手番は終了となり、全員が手札を1枚補充して、次のプレイヤーが語り部になります。これを延々と繰り返して得点を競い合うのですが、個人的には、勝負に拘るタイプのゲームではなく、閃きを楽しむゲームだと思っています。
 語り部はナイスなタイトルを考えるのが面白いですし、語り部以外は繰り出す手札を吟味したり、語り部の考えを推理したりするのが楽しいです。また、公開されたカードを見て感心したり苦笑したりと、楽しめるポイントがたくさんあります。

 以下、私が体験したディクシットのハイライト。

・「中間管理職」というお題で、鳥たちの合唱を指揮している人(ただし本人は腰まで地面に埋まっていて身動きができない)のカード、植物に巻き付かれてがんじがらめになっている人のカード、牢屋に閉じこめられた人のカードなど、錚々たる面々が集まりました。皆、考えてること同じじゃねーか。

・そうかと思えば、てんでばらばらのカードが集まることもあります。「つらそう」というお題で集まったのは、大量の書類仕事をしてる人のカード、重そうな荷物を背負っているロバのカード、食べきれない量の食事のカード、無人島で孤立してる人のカード、空を飛ぼうとしているのに地上の群衆に足を引っ張られている人のカードなど。世の中には不幸が無数にある。

・「四番バッター」というお題で、屈強な男や動物のカードが集まった中、正解は太ったおばさんのカード。目つきは鋭く、手元では食パンにバターを塗っていた。

・屈強な男と少年が笑顔で手を繋いでいるカードに、ある卓では「お友達」というタイトルがつき、別の卓では「犯罪」というタイトルがつきました。確かに誘拐犯にも見える。少年、いい笑顔なんだけどなあ……。

・「真実はいつもひとつ」というお題で、探偵風の男のカード、三本の鍵(一本だけ本物っぽい雰囲気)のカードなどが集まった中、正解は両開きの扉のカードでした。CMのアレ、と言われて納得。

・同音異義語を使うと、集まるカードの幅が広がります。めいそう(瞑想、迷走)、そうこう(走行、装甲)、みち(道、未知)、こい(来い、恋、鯉)、ワンピース(服、漫画作品)など。可憐な女性のカードと、むさくるしい海賊のカードが並んで票を奪い合う構図は、なかなかシュール。

・全プレイヤーが語り部を数回やった後で、お題作成に困ったプレイヤーが苦し紛れに出した「今まで使い道がなかったカード」というお題も面白かったです。本当にお題をつけようがないカードばかりが集まって、手札の酷さを自慢する手番になりました。無数の目玉がついた壷のカードとか、頭部が額縁になっている男女のカードとか、どうすりゃいいんだ。いつかお題をちゃんとつけてあげたいけど、難度が高い。

 想像力や語彙力を使うゲームなので、この文章を読んでるような物書きさんや読書家さんにはうってつけのゲームだと思います。経験上、ディクシット的に最強の職業は幼稚園の先生です。

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