アナログゲーム紹介コラム -ダイエット&フレンズ-

水市

 私の好きなアナログゲームに『ダイエット&フレンズ』というものがあります。2014年に冒険企画局から発売されたゲームです。手札を早く出し切った人の勝ちという大枠だけは普通なのですが、世界観設定やプレイ中の雰囲気が面白いゲームなので紹介します。
 設定としては、プレイヤーは全員仲の良い友人同士で、太り気味であることを気にしています。ある日「一番痩せた人が勝ちというダイエット競争をしよう」という話になり、全員がダイエットを始めます。当然、自分の体重を減らす努力もするのですが、勝負の性質上、相手を太らせても良いのです。壮絶な足の引っ張り合いになるかもしれません。
 実際のゲームで使うアイテムはサイコロ1個とカード72枚。そのうち56枚は食べ物のカードで、7種類の食べ物(ラーメン、ケーキ、ステーキ、シャブシャブ、トンカツ、フライドチキン、ビール)と1~8kgの数字が書かれています。他に8枚の「スペシャルカード」と、8枚の「記念日カード」というものが存在します。
 開始時に各プレイヤーに6枚の手札と、手札とは別に記念日カードが1枚配られます。後述しますが、逆転の切り札になり得るカードです。このカードは自分の手元に置きます。山札にも数枚埋まっていますので、ゲーム中に引いた場合も同様に手元に置きます(そして改めて山札を引きます)。
 中央に山札をセットし、捨て札置き場に山札から1枚置いた状態でゲームを開始します
 手番が来たら、次の5つのうち1つの行動を選んで実行します。

A「寝る」
 規則正しい睡眠をする、というニュアンスです。手札を1枚捨て、山札から1枚引きます。

B「ダイエット」
 サイコロを振って、出た目の数字が書いてあるカードを好きなだけ捨てることができます。また、サイコロを振らず、捨て札置き場の1番上のカードと同じ数字のカードを1枚だけ捨てることもできます。

C「スペシャルカードを使う」
 特殊な効果を起こすカードです。書かれている指示に従います。内容の紹介は割愛しますが、自分のダイエットを有利にするカードや、相手のカードを増やすカード等があります。ちなみに、スペシャルカードの数字は「10kg」です。

D「友達をランチに誘う」
 プレイヤーを1人選んで、好きな食べ物を宣言してランチに誘います。例えば「ラーメンを食べに行きましょう」などと言います。
 この時、選択された食べ物のカードを、

①自分も相手も持っている場合:
 その食べ物のカードを好きなだけ相手に渡します。
②自分は持っているが相手は持っていない場合:
 何も起きず手番を終了します。
③自分は持っておらず相手が持っている場合:
 ①とは逆に、相手側がその食べ物のカードを好きなだけ自分に渡します。
④自分も相手も持っていない場合:
 2人とも好きな手札を1枚選び、相手と交換します。

 基本的に①の効果で手札を押しつけることを狙う行動です。世界観的には、ランチに誘った相手に大食いさせるわけですね。

E「記念日」
 自分の手元の記念日カードを捨てることで、パーティーを開催することができます。
 好きな食べ物を選び、プレイヤー全員に対して例えば「みんなでラーメンを食べに行きませんか?」と声をかけます。声をかけられたプレイヤーは、手札にそのカードがあれば「行く」、なければ「行かない」と返事をします。
 1人でも「行く」と言った人がいれば、パーティーの主催者は他の全員からカードを1枚ずつもらわなくてはなりません。カードは渡すプレイヤーが選べます。
 全員が「行かない」と言った場合は、主催者は手札からその食べ物のカードを好きなだけ捨てることができます。世界観的には、パーティーに誰も来なかったので食べ物への未練を断ち切れた感じでしょうか。悲しいですがゲーム的にはプラスです。

 行動を終えたら次の人の手番、というのを繰り返し、誰かが手札を出し切ったら1ゲーム終了です。手札を出し切れなかったプレイヤーは手札の数値の合計分だけ太ったことになり、出し切ったプレイヤーは、他全員の体重増加分だけ痩せたことになります。展開によっては「120kg痩せました」みたいなことになります。最初の体重は何kgだったんでしょうね。
 プレイヤーの人数と同じ回数のゲームを行い、一番痩せた人の勝ちです。

 以下、プレイの考察等。世界観はバカっぽいのですが、戦い方を考える余地が大きいです。

・序盤は「ダイエット」でサイコロを振るのが得策のことが多いです。手札が少ない終盤での「ダイエット」は、出た目と手札が一致する確率が低くなります。ただ、手札が極端に偏っている(例えば2kgのカードが5枚もある)場合は、終盤でも「2」が出るまで粘り強くサイコロを振るのが良さそうです。逆に「トンカツが5枚もある」という偏り方なら、序盤から「ランチ」や「記念日」が有力になるでしょう。

・サイコロは1~6の目しか出ないため、7~8kgのカードは処理しにくい仕様です。「寝る」で捨てるか、「ランチ」で誰かに押しつけるのが基本方針になります。

・「ランチ」でカードが行き交うのがこのゲームの醍醐味です。例えばAさんとBさんの間で「ケーキを食べましょう」「いいえ結構です」というやり取りがあった場合、Aさんの手札にケーキがあり、Bさんの手札にはないという情報が全体に知れ渡ります。CさんやDさんがAさんにケーキを押しつけるチャンスとなります。

・上記の例で、Cさんがケーキのカードを3枚持っていた場合、Aさんに何枚押しつけるかというのは考えどころです。シンプルに3枚全部押しつけて自分の手札処理を優先するのも当然有力ですが、その場合、Aさんが「記念日」を発動してケーキを処理できるようになります。記念日対策として1枚手元に残しておく意地悪もまた有力な選択肢です。その後「ダイエット」で処理しやすい数字を吟味する等の工夫は必要ですが。

・「記念日」を使いたい局面では、上述の意地悪をしそうなプレイヤーに警戒する必要があります。慎重にいくなら「ランチ」で索敵をしてから「記念日」という手順になりますが、手番を余計に消費することになります。失敗のリスクを負ってでもパーティーを開くべき局面も存在します。勇気を振り絞ってパーティーしましょう。

・「ランチ」で指名され、指定された食べ物を持っている場合、ゲーム的に不利なのに「行きましょう」と言わなくてはならないというシチュエーションが結構楽しいです。心の中で「ちくしょー」と思いながらランチに同伴するのです。逆に持っていない時は、安堵の笑みで「行きませーん」と言えます。

 説明書では、一番痩せたプレイヤーが勝ち、他のプレイヤーは美味しいものをたくさん食べられたので幸せ、という優しい結論が提示されています。実際、このゲームは「負けたけど楽しかった」という感想を持てることが多いです。誰かをランチに誘ったり誘われたりしたい人にオススメです。

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