かきあげ! られない!

のょ

「『よし、書くぞー!』と意気込んで書けるなら、とっくに書いてるんだよね」
「わかる」
「書けなくて書けなくて震えるレベルだから困っているんであってだな」
「それな」
「よしんば書けたとしても、内容がないんですものー」
「内容が」
「ないよー」
 まで書いて、筆者は机に突っ伏した。
 くだらない。あまりにもくだらなすぎる。
「やっぱり筆者Aと筆者Bでトークするには無理があるな。同じ人物である以上に、対案がないからおうむ返しにしかならない」
「クソッ、会話文にすれば、せめてカギカッコ分の文字数は埋められると思ったのに……」
「この浅はかさは所詮、わたしだよな」
「しょうがないなわたしだからな。いかん、また同じ展開になりつつある」
 筆者は慌てて首を振った。さっきから不毛な会話しか書けていない。
 書けない書けないと言いながら、内容のない文章ならばこのようにつらつら書けるわけだが、それじゃあまりに読んでる方に申し訳ないではないか。せめて書くならもっと実のある文章にしよう。実のない文章は百四十文字でツイッターに投げるだけで充分だ。
「じゃあ、そもそも論をしよう。何故、書けないのか?」
「つぶやくならいくらでもできるんですよ。そう、ツイッターならね」
「これはツイッターでも投げたあと後悔するやつだね」
「すまない。反省した。これでも昔は書けていたんですよ」
「そうなんですよ。二十年以上前の話ですけど」
「それが(省略)。あれ? 今の何?」
「さすがに、あまりに自分語りがすぎて自主規制が入った」
「今更ー! こんなの書いときながら今更ー!」
「ちゃんと書いてる人からしたら、あまりに貧弱すぎるかなーって。もうちょっと建設的な話しよう」
「『書けない』理由を書くあたりで、もう建設的も何もって感じするけどね」
「いや、問題を提起することは必要だ。整理していこう」
「これ読んでる方々、絶対『それは書く前に終わらせておけよ』って思うよ」
「だよな、わたしも思ってる」
「ダメじゃん!」
「いいんだよ、力作揃いの中にひとつくらいこういうのがあっても。きっとわたしの問題はわたしだけが抱える問題じゃない。……はずだ」
「そう信じこまないと、こんなの書けないよな」
「自分から否定してたら書けるもんも書けねーよ! ということで行くぞ! なんだかんだで、このやり取りだけで原稿用紙三枚は費やしております」
「大変! 駄文だけで千二百文字!」
「まあ、このペースで三千文字越えする予定ですけどね」
「悲報! まだ地獄の一丁目!」
「油断してると息するように実のない会話になるな」
「じゃ理由を書いていこう。まず文字制限。これがキツい。かつて書いてた頃は文字制限なしで、ひたすら長い作品ばかり書いてたんで、三千字ちょいでは終われないんですよね」
「かつ、ワンアイディアだと書ききれない長さ」
「それなりの筆力がないと難しいよね」
「いつか、引き延ばすでなく、切り詰めるでなく文字数にぴったりおさまるような作品を書きたいものです」
「その前に書けないんだけどね」
「そう。テーマもまた絶妙で、ビックリするくらい思いつかない」
「テーマ×文字制限というWの縛り」
「頑張って三千字越えできそうなネタを思いついたとしても『えー? これわたしが書くの? ヤダー』みたいなのしか出てこないんですよ」
「下ネタとかな」
「ど陳腐なやつとか。書く前に発想力の低さに落ちこみますからね」
「それを跳ね除けるような表現力があるわけでなし」
「やめて。書いててまた落ちこむわ」
「問題提起で落ちこんでちゃダメなのよ」
「そうでしたね」
「テーマは書くきっかけと言っても、それなしで書いてる作品って必ず『で、テーマは?』って言われてますからね」
「きっとみんなも苦しい縛りの中書いているんですよ。『逃げんな』ってことなんですよ。多分」
「創作道、厳しいね……」
「鍛錬なんだよ、きっと……」
「できてないからな、鍛錬……」
「ホント問題提起の時点で落ちこむな……」
「レベルが低いんだねえ……。あと、これは『かきあげ!』に限った話ではない問題があるんだけど」
「話をきれいに終わらせられないんだよね」
「これは昔からの欠点で、書けていた頃ですらできてなかったんですよね」
「書けていた頃できなかったものが、今できるか? という話ですよ」
「当時『お前は書き出しだけは天才だな(文意:締めが全然ダメ)って言われてましたからね」
「世の中『終わり良ければすべてよし』なんて言葉がありますけど、終わりすらよくできてない作品がよいわけありますかと。ちゃんと締められない時点で致命的ですよね」
「しかし、文字制限やテーマが鍛錬でどうにかなると仮定して、ですけど、こっちの問題って鍛錬で解決できますかね」
「わたしは、センスじゃないかなって気がしてる」
「じゃあダメじゃん。発想力も表現力もない奴にセンスがあると思いますか?」
「ついに問うてしまった」
「違うか?」
「なんと自問自答なのでそれがどうかもわからない。そこで質問なんですけど」
「えっ、自問自答なのに?」
「この、『書けないのに書き始めてしまったこれを、どう終わらすのか?』問題についてです」
「やべえ。終わらせられないくせに何故書いてしまったんだ」
「ひどい話だね」
「お前だよ!」
「と、いうところで、ただひたすら問題提起をしてきたわけですが、ここで今回のテーマは何でしたっけ」
「……『しっぽ』?」
「そう。しっぽ。しっぽく料理ではなくしっぽ。生物のなんか後ろの方についているそれ。退化した人間ですら胎内ではしっぽがあるらしい。そんなアレですが、物語でいうと、つまり終わりの部分ですね」
「書けないわたしが一番書けないやつ」
「それがしっぽなのです」
「余計無理な話じゃん」
「だよね」
「だけど、『かきあげ!』にはいいシステムがあるじゃないですか」
「ほう?」
「『感想』です。わたしは今まで問題提起をしてきた。その回答を感想でみなさんにしていただくのです。するとどうでしょう、本体より立派なしっぽの完成です」
「我ながらクソだね」
「書けないなら書いてもらおうというシェアリングだよ」
「多分違うね?」
「そうこう言ってる間に〆切も迫ってるんで、もう投げよう」
「んー、さすがに良心の呵責というものが」
「投稿できないよりはいいはずだよ。……多分。きっと。maybe」
「そうかな……」
「試しに投げてみよ? ダメならちゃんと怒られよう」
「やっぱり怒られるんだなあ……」
「わたしが書くより立派な文章がこれに続くんだから平気だよ。えいっ」

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